サトちゃん
泥の中からサトちゃん救出。
どこから出てきたかというと…
奥の小部屋の壁をこわしていく。
トイレが出現。
この床が少し小上がりになっていて、たぶん配管の都合なんだろうけど。
最初は壊すつもりはなかった。そのまま使おうかと思ってた。トイレも。
でも、壁の中から泥がぐいぐい出てきていたことと、
大家さんの奥さんが、
「掃除しても掃除しても、なんか匂うのよね。」
と言っていたことがずっと引っかかっていた。
奥さんの言われた「匂い」は、あの泥の匂い。
地震直後半年以内に被災地を訪れた人はみんなわかると思う。
津波の泥のあの匂いだ。
工事の予定にはなかったのだけれども、大工さんの中村さんに
「中村さん、この小上がり剥いでしまっていいですか。」
と聞いてみた。
中村さんはすぐに
「いいよ。ほい。」
とバールをよこしてくれた。
で、小上がりの床をめりめりっと剥ぐと…
まだ、湿っている泥がいっぱい入っていたのだった。
少し時間がたつと表面がさっと乾いてくる。
そして匂いが立ち込めてくる。
よかった。開けて。
津波に耐えたこの建物を直している気分になってきたのだった。
泥をほうきで吐き出していると、何やらオレンジ色のものが見えた。
サトちゃんだ!
記憶がよみがえる
こんな☟
子どものころ薬局の前にあったサトちゃんムーバー。
昭和やなあ。
泥の中から救出したこの子は、
サトちゃん指人形。
救出したサトちゃんを、きれいに洗ってあげた。
足の中と鼻の中の泥はとれんかったけども。
鼻にちょっと黒いのが透けて見える。
接骨院ができあがった暁には、カウンターにいてもらおう。